心を全部奪って
「ごめん、ね…」


こんな私でごめんね。


こんなに好きになれる人に出会えるなら、


誰にも触れさせずに大切にしまっておけば良かった。


止め処なく涙を流す私を見ながら、霧島君が悲しそうな顔をする。


「もう、何も言うな」


そう言って唇を塞がれた。


本当にもう何も言わせてくれないほど、


霧島君は揺れる身体で私の唇を塞いでいた。


こんな私を、愛してくれてありがとう。


工藤さんを知り過ぎたこの身体を、


霧島君が全部塗り替えてくれる。


身体だけでなく心までも


私の全てが


霧島君の色に変わっていく。




まるで魔法のように…。

< 338 / 370 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop