心を全部奪って
奴隷になれと言われて、一体何をされるのだろうと不安になっていた私だけど。


4月の間は、特に何を言われることもされることもなく過ぎていった。


霧島さんの帰社はいつも私が帰った後のようだったし、朝しか顔を会わすこともなくて。


だんだんあの金曜の夜の出来事は、夢だったんじゃないかとさえ思い始めていた。


工藤さんとは週一ペースで会った。


以前と変わらない平和な毎日。


霧島さんに言われたことなど、すっかり忘れてしまっていた。


そんな私の状況が変化したのは、


ゴールデンウィークが明けた5月上旬のことだった。

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