心を全部奪って
「朝倉さん…」


複雑そうな顔で、私に発注書を返す鈴木さん。


「その数で合ってるらしい」


「えぇっ。そうなんですか?」


「霧島の話を聞いて、注文する気になったんだってさ」


霧島さんの話…?


「なんかショックだよ。

あの会社の担当者、ケチッていうか頭が固いっていうか。

俺が何度足を運んでも毎月少ししか買ってくれなかったのに。

霧島、どうやって話をつけたんだろう…」


ブツブツ言いながら、ノートパソコンに目をやる鈴木さん。


私もなんだか戸惑っていた。


っていうか、これだけの発注は初めてだし、一度に出せるかな。


在庫があったかしら。


問い合わせしないといけないわね。

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