心を全部奪って
そんなことを言う霧島さんに、ぐっと下唇を噛んだ。


「そんなこと…、ないわよ…。

こんなことになったのは、

彼が初めて…」


「ふぅん。

じゃあ、普通の恋愛をしていた時期もあるんだ」


「それはまぁ…」


人並みくらいには、あるんじゃないかなと思う。


「今まで何人付き合った?」


「えっ?

それ、答えないといけないんですか?」


仕事に全く関係のない話なのに。


私の言葉に、霧島さんの目がギロリと鋭くなる。


「お前、忘れたのか?

俺の質問を無視する権利は、お前にはないんだ」


急に低い声になる霧島さん。


そうだった…。


すっかり忘れていたけど。


私は彼の奴隷なんだった……。

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