心を全部奪って
「うーん…。

最初に飲みに誘ってくれたのは、工藤さんだったけど。

告白とか、何か決定的な言葉を言われたわけじゃない。

気がつけば、そうなっていたっていうのが正直なところ…かな」


そう。


どちらかが、告白したわけじゃない。


言葉なんかいらなかったんだ。


目を見ていたらもう、


お互い好きってわかったから……。


あんな経験は初めてだった。


「へぇ…」


興味があるんだかないんだか。


無表情でPCを見つめる霧島さん。


なんで聞いたんだろう。


私の過去の恋愛や、工藤さんとの馴れ初めなんか。


それ以前に。


この人って謎過ぎて、全然つかめないんだけど。


日報を送信して、PCを片付ける霧島さん。


「じゃあ、僕はこれで失礼しますー」


イヤミたっぷりにそう言って、彼は事務所を出て行ってしまった。


「はぁ…」


まだまだ終わらない仕事を前に、一人ため息をつく私だった。

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