心を全部奪って
「ひまり…」


「ん?」


「今夜は?」


「え…?」


「今夜、どうしてもひまりを抱きたい…」


甘い声で囁く工藤さんのストレートな言葉に、私の頬が一気に熱を帯びた。


「今日も残業になりそうなのか?」


「う、ん…。

でも頑張る。

今から必死にやれば、早く上がれるかもしれない」


「そうか。

もし上がれそうならすぐに教えて欲しい」


「ん…、わかった」


「頑張れよ。

俺も今日は早めにあがる」


「はい…」


二人でにっこり笑って、チュッと触れるだけのキスをした。


「じゃあ俺、先に出てるから。

ひまりは少し遅れてから出ておいで」


こくりと頷く私。


工藤さんは優しい瞳で笑うと、会議室を出て行った。


ようし。


頑張って事務処理しようっと!

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