心を全部奪って
「へぇぇ。

霧島君のアシスタントさんって、こんな美人なのー。

いいねー。

うらやましいよ」


「彼女は優秀なアシスタントなので、今日は同行させていただきました」


この男、なに調子のいいことを言ってるんだろう。


「ほう。そうなんだー。

じゃあどうぞ。

こちらの会議室へ」


佐藤部長に案内され、私は霧島さんの隣の椅子に座った。


「朝倉さん、例の書類」


「あ、あぁ…」


そうだった。


私が呼び出されたのって、この書類が必要だったからよね。


すっかり忘れてたわ。


書類を手渡すと、霧島さんは急に真剣な顔になった。


テキパキと商談を進めていく霧島さん。


その説明はとてもわかりやすく、製品に詳しくない私でも頭に入るし、自然に引き込まれていった。


なるほど…。


だから、この人はあれだけの数の契約をとってくるのね。


なんだか妙に納得してしまった。

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