心を全部奪って
「そう言えば、ひまり。
来週、人事異動があるみたいだよ」
「人事異動?」
もうすぐ4月だし、タイミングが良いのかしら。
「第二営業部第二チームにいたヤツなんだけどさ。
若いのに、なかなか見込みのあるヤツらしくて、第一営業部に引っ張ってくるらしい」
「ふぅん、そうなんだ…」
第二営業部は階が違うから、どんなメンバーがいるのか全然わからない。
「どこに配属されるのかしら?」
私も第一営業部の人間だけど…。
「もしかしたら、ひまりのいるチームかもしれないよ」
「え…?」
そう言えばつい先日、部長に言われたんだった。
朝倉さんにはもう一人くらい、営業マンのフォローを頼めそうだねって。
今でも手一杯なのに、また一人増えるのかって考えたらゾッとする。
「人使いの荒い人だったら、どうしよう」
「大丈夫だよ。すごく人当たりの良い人だって話だし」
「うーん……」
「大丈夫。ひまりなら出来るよ」
優しく笑って、私の長い髪をクシャッと握る工藤さん。
工藤さんは優しい。
部署は違えど、いつも私を見守っていてくれるから。
来週、人事異動があるみたいだよ」
「人事異動?」
もうすぐ4月だし、タイミングが良いのかしら。
「第二営業部第二チームにいたヤツなんだけどさ。
若いのに、なかなか見込みのあるヤツらしくて、第一営業部に引っ張ってくるらしい」
「ふぅん、そうなんだ…」
第二営業部は階が違うから、どんなメンバーがいるのか全然わからない。
「どこに配属されるのかしら?」
私も第一営業部の人間だけど…。
「もしかしたら、ひまりのいるチームかもしれないよ」
「え…?」
そう言えばつい先日、部長に言われたんだった。
朝倉さんにはもう一人くらい、営業マンのフォローを頼めそうだねって。
今でも手一杯なのに、また一人増えるのかって考えたらゾッとする。
「人使いの荒い人だったら、どうしよう」
「大丈夫だよ。すごく人当たりの良い人だって話だし」
「うーん……」
「大丈夫。ひまりなら出来るよ」
優しく笑って、私の長い髪をクシャッと握る工藤さん。
工藤さんは優しい。
部署は違えど、いつも私を見守っていてくれるから。