心を全部奪って
「おい。ジュン、リョウ。

俺と乾杯は?」


「拓海はいいんだよー。

毎週会ってんだからー」


「なっ、つめてー。

無理矢理してやる。

かんぱーい」


「おまっ、やめろって。

こぼれるこぼれる」


わはははと豪快に笑う男性三人。


へぇ…。


随分仲が良いんだねぇ…。


「ごめんねー。こいつらうるさくて」


カウンター越しに、ナオトさんが言った。


「俺らね、大学からの友達なんだ。

草野球のサークル仲間でね」


「そうなんですか」


「俺も以前は会社員だったんだけどね、どうも性に合わなくて。

それで始めた居酒屋なんだけど。

こいつら毎週日曜になると、こうやって夕方から飲んでるんだ。

まぁ日曜は客がほどんと来ないし、別にいいんだけどねー」


ふと壁に目をやると、野球のユニフォームを着た男性達が並んで写っている写真が見えた。


多分、あの中に霧島さんもいるのね。


なるほど。


ここは、サークル仲間の溜まり場なんだわ。

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