piano
「学校。行ってないの?」
ふっと訪れた沈黙が破られて、
「あ、うん。なんか…色々、あって……」
否応なしに、嫌な記憶がよみがえった。
だけど、そんなサヤにかけられたコトバは、
「もう、学校なんて行かない」
そういうサヤの思いを揺らがした。
「今までのサヤの“いいこと”は、あのばあさんが利用するために奪ってたから。
だからもう、大丈夫。それに……
何があっても、おれ、味方だから……」
サヤが見ると、彼は目を逸らした。頬が赤い。
「……照れてる?」
「なっ……!」