piano
連奏
しばらくして。
弾き疲れたサヤがベッドに倒れこむと、ぐっ、と声が聴こえた気がした。何か変だ。
恐る恐る、布団をめくる。
そこにはなぜか、見知らぬ少年がいた。
咄嗟にサヤは悲鳴をあげようとする。しかしさっと口が塞がれた。少年だ。いつの間にか起き上がっていたらしい。
その上もう片方の手にはナイフが握られ、サヤの喉元に突きつけられている。
いつの間にやったのだろう……だけど、今は感心している場合ではない。
「大声は出すな。死にたくないなら……ま、騒いだところで誰も来やしないと思うけどな」
「……面倒見てくれてる、おばあさんがいるわ」
「はぁ? いたって来やしないよ」
「どうしてそう言いきれるの」
「……おれが普通じゃないからだよ」
確かに、普通の人間が、サヤの部屋に入れるはずがない。
出入りが一切出来ないように、おばあさんがいつも見張っているのだから。