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……がちゃり。

突然、ドアが開いた。

「お昼だよ」

おばあさんが、そう言い捨てて出て行く。床にはコンビニ弁当を置いて。


……そういえば、あの少年。


どうしたのだろう、と、サヤは一瞬振り返る。

ほんの1、2秒しか目を逸らしていないのに、視線を戻すと少年はサヤの弁当を開いていた。


「え! ちょっと、返して!」

驚いて思わず叫ぶように言うと、少年はあっさり弁当を返した。焼き魚をくわえて。


「コンビニ弁当の魚って、美味いと思わないか?」

嬉しそうに、少年が言った。

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