優しい世界の愛し方
後ろに倒れこんだとき、ふしぎと痛みはなかった。

その代わり、

「ぐふうっ」

といううめき声が私の真下で聞こえた。

「......えっ」

何がなんだか分からず、下を見る。


そこには、男子生徒が一人、私のしたじきになって伸びていた。


「ちょっとやだ、大丈夫?」

あわててその場からどき、声をかける。

えりもとの(うちの学校の男子制服は学ランなのだ)校章が赤色だ。


ということは、私と同じ学年……。
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