優しい世界の愛し方
「痛たた……」

私の声に反応したのか、

その男子は、うめきながらも体を起こした。


私はその顔に見覚えがあった。


確か同じクラスの……


「来栖くん?」

そう呼ぶと、彼はこちらに顔を向けた。



夕日のせいなのか、彼の髪色は黒いよりは茶に見えた。

びっくりするくらい長いまつげをしてい
て、

それに縁どられた大きな目が私をうつしている。

ずいぶんとかわいい顔をしているな

と思った。

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