優しい世界の愛し方
あの女の子たちを押しのけて来栖くんにジャージを渡すのは無理そうだ。
......しかたない。タイミングなんてまだたくさんあるはず。今は止めておこう。
そう思った。
だが、
私はクラスの人気者のすごさを後に思い知らされることになる。
授業ごとの10分休憩。ここで話しかけようと試みるけれど、ことごとく失敗した。
男女関係なく、彼の周りには人がいる。
まるで入り込める余地が無い。
なんで! たかがジャージを渡すだけなのにこんなに苦労するのか!
こうなればなにがなんでも今日中に渡してやる。こんな日が何日も続くなんてごめんよ。
となれば、
狙い目は昼休みか放課後。
さすがに渡せるはず!
ということで昼休み。
昼食を食べに行かれる前に話しかけようとする。が。
「いおり! ダッシュだ! 売店のクリームパンなくなっちゃうだろ!」
「おう! サッカー部で鍛え上げたこの脚力。今日こそはラグビー部に勝つぜー!」
チャイムが鳴ったと同時、来栖くんは友人たちと風のように走り去っていってしまった。
......しかたない。タイミングなんてまだたくさんあるはず。今は止めておこう。
そう思った。
だが、
私はクラスの人気者のすごさを後に思い知らされることになる。
授業ごとの10分休憩。ここで話しかけようと試みるけれど、ことごとく失敗した。
男女関係なく、彼の周りには人がいる。
まるで入り込める余地が無い。
なんで! たかがジャージを渡すだけなのにこんなに苦労するのか!
こうなればなにがなんでも今日中に渡してやる。こんな日が何日も続くなんてごめんよ。
となれば、
狙い目は昼休みか放課後。
さすがに渡せるはず!
ということで昼休み。
昼食を食べに行かれる前に話しかけようとする。が。
「いおり! ダッシュだ! 売店のクリームパンなくなっちゃうだろ!」
「おう! サッカー部で鍛え上げたこの脚力。今日こそはラグビー部に勝つぜー!」
チャイムが鳴ったと同時、来栖くんは友人たちと風のように走り去っていってしまった。