異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました


 うまっ! 見ただけでこの完成度ってすげーっ!
 生まれ変わってから初めてまともなもの食った。
 あ、でも欲を言うなら……。

「ちょっと全体的に薄味かな」

 遠慮がちに指摘すると、シャスはあらかじめわかっていたかのようにニヤリと笑った。

「うん。後で調整するつもりで薄めにしてるから」

 へぇぇっ! そこまで計算してるとはプロか!?

「味の方向性は間違ってないんだな?」
「うん」
「じゃ、仕上げ」

 そう言ってシャスは調味料とケチャップを加え、手首をクイクイッとフライパンの中身を踊らせる。
 味を調えたチキンライスは皿に移され、形を整えられた。
 最初に焼いた薄焼き卵でチキンライスを覆い、上にケチャップをかけ、シャスは背筋を伸ばしてパンと手を打った。

「完成」

 できあがったオムライスの載った皿にスプーンを添えて、シャスは得意げな表情でオレに差し出す。

「食ってみて」
「うん。いただきまーす」

 上に載ったケチャップを少しすくって、オムライスの端っこと一緒に口に入れる。
 さっき食べたときより味がはっきりとしていて、日本のものよりハーブの風味が強い。
 オレの知っているオムライスとは少し違うけど、リズが昔食べたクランベール流のオムライスはこんな感じだっただろう。味も申し分ない。
 自然とテンションの上がったオレは口の中のものを飲み込んで叫んだ。

「すっげーうまい! すげーな、シャス。見ただけでこんなの作れるなんて」
「そうか? よかった」

 シャスは少し照れくさそうに微笑んだ後、思い出したように尋ねた。

「それにしてもシーナ、こんな誰も知らないような料理、おまえはどうして知ってるんだ?」

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