異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
ヤバイ。まさか誰も知らない料理だとは思ってなかったから、うっかりしてた。
人工知能をフル稼働させて、辻褄の合う言い訳を考える。
「リズの知り合いが差し入れてくれたものをオレも食べさせてもらったんだ」
リズの研究室には時々学者仲間がやってくる。リズの食事が酷いことは周知の事実だし、たまに差し入れのお菓子をもらったりするので、そういうことにしておけば無難なはず。
モニタリングされてるからわかってるだろうけど、後でもう一度口裏を合わせておこう。
「ふーん。家庭料理なのか」
「たぶん」
シャスがそれ以上追及しないことに安堵しつつ、オレは残りのオムライスを平らげた。
「あーうまかった。満足満足」
別に食べなくてもいい体だけど、味覚センサありがとう。
食事でこんなに幸せな気分になれたのは、無計画に出費して極貧を味わった直後の給料日以来だ。
無意識に頬をゆるめて幸せをかみしめているオレの頭をシャスが後ろから軽くはたいた。
「おいこら。オレはおまえが満足するために作ったわけじゃないぞ。今度はおまえが作れ」
そういえば、そうだった。
シャスに尻をたたかれて、記憶した手順を確認しつつシャスとロティとフェランド三人分のオムライスを作り終えた頃には、オレは見事にオムライスマスターになっていた。
さすが超高性能万能ロボット。