異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました



 朝食の出来に満足しつつ、オレは廊下に出てリズの部屋に向かった。
 リズの部屋は大叔母さんの部屋の右隣にある。そこはかつて、バージュ博士が使っていた部屋だという。
 同じ機械工学専門だから、バージュ博士亡き後、リズが丸ごと譲り受けたらしい。ゆうべチラッと見たけど、大叔母さんの部屋に負けず劣らず本がたくさんあった。

 扉をノックして部屋の外から声をかけてみたが、反応がない。いつも朝食がサプリのリズは、目覚める時間ももう少しあとなのだろう。でもオレが引き上げたあと夜更かししていなければ、そろそろ起きても支障はないはずだ。

 扉を開けようとドアノブに手をかけたものの少しためらわれる。なにしろ女の子が眠っている部屋だ。
 まさか裸で眠ってるなんてことはないと思うが、断りもなく開けたらまたエロボット呼ばわりされそうな気がする。それは不愉快だ。
 結果、オレは先ほどより強く扉を叩いた。

「リズ、起きて」
「えー、なに?」

 今度は返事があった。聴覚センサの感度を上げてみると、ゴソゴソと布団から這い出した気配がする。ペタペタと足音が近づいて来て扉が開いた。
 寝間着姿のリズが目をこすりなから眠そうに尋ねる。

「なにかあったの?」
「朝食ができてるから食べて」
「え?」

 リズが目を見開いて固まった。そんなに驚くことか?

「朝ご飯まで作ったの?」
「朝はちゃんと食った方がいいだろ?」
「寝てる方がいいわよ」

 確かに、オレも人間やってるときはそうだった。だがしかし!

「いいから食えって!」

 有無も言わさずリズの手首を掴んで廊下に引きずり出す。もう夜が明けたから、あの痛い命令は効力をなくしていた。


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