異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
こんな機密文書を気軽に閲覧しちゃっていいのかはばかられる。なにしろオレは警察局の備品だから、オレの記憶領域は警察局の許可があれば、誰でも閲覧可能なのだ。
もちろん誰でもなんでもOKというわけではない。
システムの保存されている保護領域とシステムが使用するシステム領域は特別として、記憶領域は三つに分けられ、それぞれにセキュリティレベルが設定されている。
警察局が許可すれば閲覧可能な一般領域、マスターの許可が必要なプライベート領域、そしてマスター以外閲覧できないシークレット領域とある。当然ながらオレ自身は保護領域とシステム領域以外の全領域にアクセスできるわけだが。
今閲覧している日記データはプライベート領域に保存されている。セキュリティレベルをあげるべきではないだろうか。
「リズ、大叔母さんの日記データなんだけど、シークレット領域に移動していい?」
「なに? なにか見つけたの?」
コンピュータに向かって仕事をしていたリズが、目を輝かせて身を乗り出した。
「うん、ちょっと。まだソースコード関連のことは出てきてないんだけど、バージュ博士の出生の秘密がいきなり出てきてさ。科学技術局のトップシークレットだったんだろ?」
「そうだけど。なんだったの?」
「まぁ、大半が日常の出来事だから、他にも重要そうなとこはピックアップして別ファイルにまとめとくよ」
「うん、そうして。あとでまとめて読んでみるわ」
そう言ってリズは仕事に戻った。
オレは開いていたファイルを一旦閉じて、シークレット領域に移動し再び続きを開く。
気になる記述をピックアップして保存しながら、日記を読み進めた。