異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
不完全な実験体だったランシュ少年は遺伝子に欠陥があったため、生まれつき病弱で二十歳まで生きられないと言われていたらしい。それは本人も知っていた。
なるほど。それで彼をモデルにしたオレの容姿が色白で華奢で儚げなのか。
体は病弱だったが、ランシュ少年は知能が高く、十一歳の頃から、積極的に知識を吸収し、大人の研究者たちも舌を巻くほどだった。特に機械工学に興味を示していたので、当時から様々なロボットを作っていたらしい。
その頭脳が認められ、十六歳という異例の若さで科学技術局に入局することとなる。
おとなしく素直でよく言うことを聞くいい子なランシュ少年だが、どこか冷めていて人とあまり関わりたがらない。そんな彼が気になって、フェティはヒマさえあればかまっていた。
この頃のランシュ少年は、戸惑いながらもフェティとは仲良くしていたようだ。
フェティは二十七歳のとき、科学技術局幹部局員たちの協議で副局長に抜擢された。
オレの感覚では国家機関のナンバーツーが二十代って若すぎる気がするが、科学技術局では局長と副局長は現場から選任されることになっているらしい。
科学の現場に精通し、現場の科学者たちに信頼され統率力のあるものを、現場からの推薦と幹部たちの協議で決定する。
常に最新技術の開発を行っている科学技術局では、代表責任者が世間や関係機関に技術の詳細を説明しなければならないので、現場を知らない人間では務まらないということらしい。