異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました



 博士が免職になるきっかけとなった開発は「究極のヒューマノイド・ロボット」だったらしい。バイオ専門のフェティには詳しいことはわからないようで、それ以上のことは書かれていない。
 復職してそれを完成することは諦めたのかな?

 そしてふと気づいた。
 バージュモデル発表の十年も前の日付で、フェティの研究データの隙間にこっそり隠されていたオレのオリジナル設計図。あれってちょうど免職になったのと同時期だ。わざわざ隠してあるってことは免職の原因?
 あのとき違法とされた開発から、違法でない形に変更させるのに十年かけて、完成したのがバージュモデルということか?
 違法とされた設計図から作られたオレの体って違法じゃないんだろうかとちょっと気になる。
 まぁ、リズが違法だと認識していないってことは大丈夫なんだろうけど、どうなんだろう。
 それが気になって尋ねると、リズはクスクスと笑った。

「設計図そのものに違法なところはなにもなかったわ。あなたが入る前の完成品は警察局の厳しいチェックを受けてるのよ。違法だったらその時に指摘されてるはずよ」
「じゃあ、なにが違法だったんだ?」
「絶対命令をインプットしないつもりだったのよ」

 あぁ〜そりゃ確かに違法だ。

「でもなんでそんなことしようと思ったんだろう」
「人間に絶対命令なんてインプットされてないでしょう? 人間らしさを追求するためだったらしいわよ」
「へぇ」

 天才少年の割になんと短絡的な。オレがあまりにあきれていたからか、リズが慌てて補足した。


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