異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
そしてある日、ロボット兵を導入しようという計画が持ち上がった。
人の兵士の危険を軽減するためという大義名分を掲げている。オレの導入理由と同じだが、利用目的が明らかに違う。
オレには絶対命令があるため、人の生命最優先なので、人間の被疑者相手には太刀打ちできない。
ところがロボット兵が相手にするのは、他国にロボット兵がいない以上、間違いなく人間の敵兵なのだ。
無人の機械兵器だけ相手にしていたのでは、導入した意味がない。
そこで絶対命令に改変を加えて、人間らしい感情や身体感覚を廃し、軍事専用ロボットとして生産するという。
これにはロボット工学部門の責任者となっていたバージュ博士が猛反対した。博士寄りの幹部たちも大多数が同調する。
そのため現場の協力が得られそうにないということで、計画そのものが中止となった。
この一件を機にバージュ博士は科学技術局に不信感を抱くようになったようだ。それはフェティも同様で、局長に反発する勢力として警戒されることになる。
だから人格形成プログラムのソースコードをかたくなに手放さなかったのか。
ということは、科学技術局に渡すくらいならと、リズの推測通り消去している可能性が高くなった。
所々飛んでいる日記の日付は、なにか科学技術局に知られてはまずいことでも書かれていたのだろう。
九十年分もあった長い日記も残すところあと二十年あまりとなった。この頃になってようやくリズが登場する。
フェティの姪であるリズの母親がエアカーの事故で夫と共に亡くなり、二歳になったばかりのリズはフェティに引き取られた。
妹が小さかった頃を思い出すと言って、ランシュの方がフェティよりリズをかわいがっていたようだ。そのせいか、リズもランシュに懐いて、機械やロボットに興味を示し始める。
なるほど。こうやって今のリズが形成されていったわけか。