異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
案の定、眉間のしわをさらに深くしてオレを憎々しげに睨む。
「バカかおまえは。そんなことして犯人に見つかったら人質の身が危ないじゃないか」
あれ? もしかして班長は知らない?
まぁ、配属になって日も浅いし、気に入らないオレの機能なんか細かく把握してないか。
口出しついでに提案してみる。
「私ならロボットの犯人に見つかることはありません」
「どういうことだ?」
よし。乗ってきた。
「私にはステルス機能があります。人の感覚はごまかせませんが、ロボットなら視界に入らない限り見つかりません」
これは以前ウソ発見器がわりになったとき、人のふりをするのに使った生体反応システムに含まれる機能のひとつだ。
生体反応システムはロボットの気配を消して、人の生体反応をまねることによりロボットのセンサをだましている。人の生体反応を作動しなければ、ロボットのセンサには存在自体が認識されないのだ。
もちろん人の目に当たるカメラに映ってしまえば認識されてしまうわけだが。
納得した班長は小さく頷いてオレに指示を出した。
「よし。シーナ、見てこい。ただし、欲を出すな。犯人に見つかったら元も子もないし、人質に見つかったら余計に面倒だ。騒がれなかったとしても感情を隠すことはできない。犯人はノーマルモデルだが、違法ロボットだからな。おまえと同じように感情が読める可能性は捨てきれない。いいな?」
「了解しました」
確かに人間の人質に見つかる方がやばいよな。芋づる式に犯人にもばれちまう。
オレは気配を消して物音をたてないように静かに大回りをして路地側にある店の窓を目指した。