異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました


「シャス、こいつを頼む!」
「え? シーナ?」

 呆気にとられたようなシャスに被疑者ロボットを預けて、オレは全力で駆けだした。フルパワーの残り時間はまだ五分以上ある。間に合ってくれ!

「班長ーっ! 伏せてください!」

 オレの意思を察知して絶対命令が起動した。視界の隅にあったフルパワーの残り時間が解除される。
 オレの意思とは関係なく体は勝手に動き、全力で班長の元へ駆けつけた。オレの声に振り向いて咄嗟に身を低くした班長の前で赤外線を遮るように立ちはだかる。
 その直後、背中に激しい衝撃を受けた。少し体が傾ぐ。頭の中にフルパワーの終了を告げるメッセージが流れ、筋力リミッターがロックされた。

 痛覚センサ切れててよかった。これ、本当ならハンパなく痛いはず。
 あぁ、だからフルパワーの時って痛覚センサが切れるのか。
 制服に穴が空いちゃったなぁ。これしか着るもの持ってないのに。備品のオレに新しいのを支給してもらえるのかなぁ。

 そんなどうでもいいことを考えていると、向こうからグレザックが駆け寄ってきた。

「シーナ! 大丈夫か?」

 その声にハッと我に返り、オレは向かいのビルを指さす。

「そうだ! あの建物の屋上から撃たれました。まだ犯人がいるかもしれません」

 グレザックはオレの頭をくしゃりと撫でて静かに言う。

< 134 / 285 >

この作品をシェア

pagetop