異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました


「フェランドが向かった。おまえも平気そうでよかった」
「本当に平気なのか?」

 屈んでいた班長がゆらりと立ち上がり、いつもの不愉快そうな目でオレを見下ろす。
 オレは天使の微笑みを浮かべて答えた。

「はい。班長に大事なくてよかったです」

 次の瞬間、オレは班長に思い切り平手打ちを食らっていた。なんで殴られたのか意味がわからず、一瞬全思考回路が停止する。
 それを見かねたのか、ご丁寧にシステムメッセージが状況を説明してくれた。


 ラモット=ベルジュロンの右手に殴打されたことにより、左頬にレベル2のダメージ。


 はいはい。状況はわかりました。痛覚センサが戻ったから、すげー痛いし。
 でも、なんで?

 ポカンとするオレの胸ぐらを掴んで、班長は至近距離で怒鳴った。

「笑ってんじゃねーよ! おまえは死にかけたんだぞ!」

 いやいや。凶悪犯罪対応の強化ボディだから、そう簡単には死なないし。ていうか、ロボットが死ぬって……。
 もしかして、心配してくれた?

 また殴られるのを覚悟の上で、オレはもう一度微笑む。

「私は銃で撃たれたぐらいでは死にません。心配してくれてありがとうございます」
「フン」

 班長はオレから手を離し、いつもの数倍も不愉快そうに顔を歪めた。そしてオレに背を向ける。

「助けてくれたことには礼を言う」

 ぼそりとつぶやいて、班長は現場の指揮に戻っていった。



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