異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました


 結局、向かいのビルにフェランドが到着したときには犯人は逃走していて、確保することはできなかったらしい。
 局に引き上げてからも班長は、オレと目を合わそうとはしない。いつも通りに二課長に報告をすませて、いつも通りにロティのお茶を断り、さっさと事務室を出て行った。

 なんかまた班長との距離が開いた気がする。

 ため息をつきながらロティとお茶を飲んでいるところへ、にこにこしながら二課長がやってきた。

「シーナ、ラモット君を守ってくれたそうだね。私からも礼を言うよ。ありがとう」
「いえ、礼を言われることではありません。班長には怒られましたし」

 笑いながら茶化すオレに、ロティが不思議そうに尋ねる。

「どうしてラモットさんは怒ったの?」
「さぁ……。心配してくれたみたいだから、無茶するなってことだったんじゃないかな。ほら、制服に穴空いちゃったし」

 背中を向けてみせると、ロティは珍しいものでも見るように身を屈めて、制服に空いた穴に指をつっこんだ。

「わぁ。すごーい。痛くなかったの?」
「痛覚センサが切れてたから痛くはなかったけど、今はちょっとくすぐったい」
「あ、ごめーん」

 慌てて指を退いたロティと笑い合っていると、二課長が苦笑混じりにぽつりと漏らした。

「ラモット君は昔のことを思い出したんだろうな」
「え? 昔のことって?」

 あ、もしかしてロボット嫌いになった原因?


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