異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
「ロボット大好きなくせにリズってシビアだな」
「私じゃないわよ。絶対命令がそういう仕様なの。他の制限や命令は一切受け付けないのよ」
「ふーん」
シンプルでわかりやすい仕様ではあるが、やっぱり基本的には人間本位なんだな。
表面だけ見てると、絶対命令ってロボットのためというより人間が都合よくロボットを操るためにしか思えない。ロボット好きの天才少年だったバージュ博士が、憤りから道を踏み外したのもわかる気がする。
ロボットのためでもあると聞かされた今でも、元々絶対命令の必要がないオレにはやっぱりピンと来ない。むしろ邪魔されてばかりで正直ウザい。
ただ絶対命令による無制限フルパワーのおかげで、班長を守りきることができたのも事実だから、微妙。
「もしも制限時間を増やすことになったら、オレはしばらく動けなくなるの?」
目覚めたときに横になってたあの作業台に寝るのかな。しかも全裸で。
たぶん省電力モードだろうとは思うけど、意識のある状態のまま全裸でリズのなすがままって、なんか恥ずかしい。今更な気はするけど。
まぁ、備品のオレには拒否る権利はないだろうし、リズに命令されれば従わざるを得ない。
それも半分は覚悟の上でそれとなく尋ねてみたんだが、リズは気にした様子もなく笑いながら答えた。
「バッテリの交換だけで済むからすぐ済むわよ。背中をめくるだけだし」
「へぇ。そんなもんなんだ」
背中ならたとえ全裸でもマシか。ちょっと駄々こねたら半裸ですむかも。
オレが乙女のようにひたすら肌の露出具合を心配していると、入り口の扉が来客を告げるアラームを鳴らした。リズがコンピュータの画面を切り替えて応答する。画面にはシャスの顔が映されていた。