異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
扉が開きシャスが研究室に入ってくる。手には真新しい制服が握られていた。
半裸でケーブルに繋がれたまま立っているオレの前までやってきたシャスは、にこにこしながら手にした制服を差し出した。
「ほら。さっき穴が空いただろ? 班長が新しいのを渡してこいって」
「班長が?」
痛い過去を思い切り思い出させたオレなんか、益々敬遠されてもしょうがないと思ってたんだが、班長もそんなに子供じゃないか。
シャスは苦笑しながら班長をフォローする。
「おまえのこと人間の部下と同じように心配したんだと思うよ」
「うん。それはわかってる」
「そっか。そういえば感情が読めるんだっけ」
ホッとしたように笑顔を深めるシャスに、オレも笑顔を返す。
「うん。シャスが班長を大好きなのも知ってる」
「へぇ。シャスさんってそうだったの?」
横からリズがおもしろそうに茶化した。シャスは真っ赤になってうろたえる。
「ちがっ……! 変な言い方すんなよ! 尊敬してあこがれてるだけだ!」
だから知ってるって。
シャスのこういう素直な反応がおもしろくて、フェランドがいじりたくなるのもわかる気がする。
実は感情を読んだんじゃなくて、フェランドから聞いたのだ。シャスは班長にあこがれて特務捜査二課への配属を希望したらしい。
シャス以外にも班長を信頼している捜査員は多いのだという。
初仕事で班長に「嫌いだ」と宣言されたオレが、班長とぎくしゃくしてはまずいと判断したのか、フェランドが班長の武勇伝と共に教えてくれた。
彼もまた班長を信頼しているひとりなのだ。
なにしろフェランドとグレザックは元々班長の部下で、特務捜査二課創設の折りに、班長が自ら指名して連れてきたというから、互いに強い信頼関係で結ばれている。