異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
怪訝に思いながら顔を見合わせているオレとシャスの横で、リズはあっさりと了承の返事をして通信を切った。
そのまま淡々とオレのデータ収集を打ち切り、ケーブルを引き抜きながら言う。
「さっさと着替えて。穴の空いた制服で来客応対するわけにいかないでしょ?」
「来客って、立てこもり犯の親玉じゃねーか。制服の穴を見せつけてやりゃいいんだ。人間だったら死んでるんだぞ」
あの日記の与えた先入観のせいで、科学技術局に対する不信感が拭えないオレは、思い切り毒づく。
だがリズは冷静に諭した。
「あなたを撃った犯人と立てこもり事件との関連性はつかめていないわ。立てこもりロボットの持ち主は科学技術局かもしれないけど、わざわざ謝りに来てるんだからとりあえず話をきいてみましょう」
「はいはい」
投げやりに答えて、オレは壁に埋め込まれた戸棚の扉を手前に開いた。この扉だけ唯一外開きなのだ。陰に入ればちょうど肩から膝の当たりまで隠れるので、ここがオレの簡易更衣室となっている。こっちに来て三回しか着替えたことないけど。
扉の陰でこそこそと着替えているオレを見ながら、シャスが不思議そうに尋ねた。
「おまえも裸見られるのって恥ずかしいの?」
「え……」
やっぱ変かな。他のロボットはどうなんだろう。
返答に窮していると、リズがおもしろそうにフォローしてくれた。
「ロボットにも羞恥心は設定されてるのよ。特にバージュモデルは人間そっくりだから、ところかまわず裸になってくれたら、まわりにいる人間の方がびっくりするでしょ?」
「あぁ、確かに」
あっさりとシャスは納得したようだ。
へぇ。そうだったんだ。