異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
オレは無視か。謝る相手を間違ってるだろ。
まぁ、これで笑顔を作る必要がなくなったからいいけど。
立ち話もなんだからと二課長に促され、みんな席に着く。窓側の長椅子にお客様が、その前にリズとオレ、男の斜め前に二課長が座ったのを見て、ロティが淡々とお茶を配り、そそくさと部屋を出ていった。
さすがに二度目のセクハラはなかったようだ。ロティがそれとなく警戒していたのもあるが、なにしろお客様の視線はオレに釘付けなのだ。
おっさんの熱いまなざしなんてぜんぜん嬉しくない。むしろ気持ち悪い。
男はようやくオレから視線を外し、リズに向かって挨拶をした。
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。私は科学技術局局長ダン=グリュデと申します。専門はあなたと同じロボット工学です。だからつい、シーナに夢中になってしまって……。いや、お恥ずかしい」
なんと。局長自らお出ましとは。
今の局長もロボット工学専門なのか。バージュ博士がいたころの局長とは代替わりしてるだろうけど、この人もロボットを機械としか思っていない印象を受ける。先ほどのオレに対する扱いがそれを物語っていた。
我を忘れてロボットに夢中になるのは好きだからなんだろうけど、バージュ博士やリズとは違うタイプのようだ。
それはリズも感じているようで、あれほどオレには笑顔笑顔と言ってたくせに、自分は冷ややかな眼差しで彼を見つめていた。
たぶん班長よりも気が合わないだろうな。
リズはにこりともせず、形式的に挨拶を返す。
「特務捜査二課専属研究員のレグリーズ=クリネと申します。シーナを気に入っていただいたことは光栄です」
グリュデ氏は気まずそうに苦笑しながら、本来の目的を果たすべく口を開いた。