異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
「今日はうちのロボットが世間を騒がせてしまって、警察局の方々にも大変ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
「あのロボットはやはり科学技術局のものなんですね?」
二課長の質問にグリュデ氏は素直に頷く。
「はい。国家機密になるので、詳しいことは申し上げられませんが、開発途中のものが、ちょっと目を離した隙に局の建物から逃げ出してしまったんですよ」
逃げ出したって、動物園の動物じゃあるまいし。言葉が通じるんだから、ちゃんと言い聞かせとけよ。
「ベタベタ触られるから、気持ち悪くて逃げ出したんじゃないですか?」
オレはここぞとばかりに突っ込みを入れた。
もちろん、リズに命令されたとおり極上の笑顔で。
すかさずリズからわき腹に肘鉄を食らう。けれどグリュデ氏は一瞬目を丸くした後、声を上げて笑った。
「いやぁ、これはまいった。君は会話能力も優れているようだね。今の冗談はうまかったよ」
冗談じゃなくてイヤミだっての。
逃げたのはともかく、どうして人質をとって立てこもったりしたんだろう。科学技術局のものなら絶対命令はインプットされているはずだ。
それは誰もが疑問に思っていたらしい。二課長が尋ねると、グリュデ氏は少し困ったように言い淀む。
「それは、私にも推測することしかできないんだが……」
そう前置きをして、彼の推測を語り始めた。