異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
警察局の正面玄関に迎えのエアカーがやってきた。グリュデはそれに乗り込み、科学技術局に向かう。
エアカーが動き始めて少ししたとき、迎えに来た男が眉をひそめてグリュデに言う。
「なにもあなたが直接出向かなくても、私が代わりに行きましたものを」
「シーナを直に見てみたかったんだよ」
「いかがでしたか?」
グリュデはニヤリと口元に笑みを浮かべ、意味ありげに横目で男を見る。
「なかなかおもしろい子だった。色々と興味深い。ただ私は嫌われてしまったかもしれないね」
「また触りまくったんでしょう」
小さく息をついて目を伏せた男の肩を、グリュデは笑いながら叩いた。
「お見通しか。あんまりきれいだったから、つい度を超してしまったんだよ」
「いつも度を超しているように見受けられますが」
「そんなことはないと思うけどねぇ。ところで、そっちはどうだった?」
軽口を叩いていた男が、途端に表情を引き締め居住まいを正す。
「産業復興局の登録データによると、シーナの製造年は今年でした。ただ、仕様の詳細を確認したところ、使用されている技術のいくつかはずいぶんと古いものです」
「古いってどれくらい?」
「九十年前です」
「……バージュ博士が免職になった頃だな」
グリュデは再びニヤリと笑う。
「ふーん。それは有益な情報を手に入れたみたいだね」