異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
ホッとして立ち上がったオレに、リズは吐き捨てるように言う。
「命令中止」
「寛大なご対応傷み入ります、マスター」
オレは仰々しく頭を下げた。けれどリズは、まだ不愉快そうにムスッとしている。なんかいい加減面倒くさくなってきた。
「あのさぁ。軽い冗談なのに、そこまで怒ることないだろう。前にも言ったけど、オレはただのロボットなんだから」
「私も前に言ったでしょう? あなたをただのロボットだとは思ってないって」
それって変なロボットって意味じゃないのか?
リズは低い声で付け加える。
「あなた自身が自分のことをただのロボットだと思っているなら、もうあんな悪ふざけしないで」
は? ただのロボットなら、なんでも許されるんじゃないのか? ただのロボットなら悪ふざけ禁止って意味がわからない。
てことは、変なロボットなら悪ふざけしてもいいってことか。実際にオレは変なロボットだよな。リズもオレをただのロボットだとは思ってない。
つまり、ただのロボットに悪ふざけで動揺させられたくないってことなのか。
……え? まさか、リズ……。
胸の鼓動が早くなる。偽物だけど、感情や運動量に連動している。これも無駄に人間くさい機能。
そしてすべての思考回路がめまぐるしく稼働し始めた。クランベールで目覚めてから今までの記憶をたどり、リズの言動が次々にピックアップされ、脳裏をフラッシュバックしていく。
思考回路と人工知能の負荷率がどんどん上昇する。