異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
おっさんロボットはオレより視覚性能が劣るようだ。少し遅れてふたりの捜査員にようやく気づいたようで突然進路を変更した。
やはり逃げることが優先らしい。左手の狭い路地に駆け込んでいく。路地の先にはまた捜査員が待ち伏せていた。先ほど命令を受けたもうひとり、シャスだ。
この路地にはわき道がない。おっさんは袋の鼠だ。
オレが密かに勝利を確信したとき、おっさんの右腕がスッと横に伸びた。内蔵されていた刃物が手の甲から突き出し鈍い光を放つ。
後ろのオレには見向きもせず、真っ直ぐに前方を向いている。おっさんの見据える先にはシャスがいた。
こいつ、シャスを倒して逃げるつもりだ。シャスが危ない!
そう思ったと同時に、体の制御が人工知能に支配された。
瞬時にシャスとおっさんの距離、おっさんとオレとの距離、速度が計算される。その結果、オレはオレの意思とは関係なく、路肩に止めてあった無人のエアバイクをおっさんの背中に向かって投げつけていた。
筋力リミッター、ロック。
システムメッセージがフルパワーの終了を告げる。
おっさんロボットはエアバイクの下敷きになって機能を停止していた。念のため手錠をかけて拘束する。
「リズ、ロボットを確保した」
「お疲れさま」
向こうからシャスが小走りにやってくる。シャスの後ろで閉鎖された道路の脇には人が集まり始めていた。