異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
会議室には中央にある会議机のまわりに、すでに多くの捜査員が集まっていた。部屋の右手一番奥で、なにやらラモット班長が苦虫を噛み潰したような顔をしている。いつも以上に不機嫌そうだ。なるべくかかわらないようにしよう。
オレは班長の視界に入らないように、リズの陰に隠れて班長と同じサイドの末席に座った。
どうやらオレたちが最後だったらしい。リズが急かしていた理由がわかった。
オレたちが席に着くのを見て二課長が口を開いた。
「始業前に集まってもらって申し訳ない。先日の立てこもり事件の時、機動捜査班のラモットくんが何者かに銃撃されたことは周知されている通りだ。一般捜査一課の方で捜査していたんだが、犯人がヒューマノイド・ロボットである可能性が高くなってきたらしい。そこで担当が特務捜査二課にも回ってきた」
あの時、現場は大勢の捜査員や野次馬でごった返していた。人はたくさんいたが、皆立てこもり事件の方に興味を引かれていたようで、その場で目撃情報は得られなかったと聞いている。
犯人のいた現場に急行したフェランドさえ、なんの手がかりも掴めなかった。
ロボットの関連性が掴めていなかったので、その時点で特務捜査二課の担当案件ではない。翌日からは一般捜査一課で捜査が行われることになった。
捜査の結果、付近住民からの目撃情報を得る。目撃者は子供だった。
当初は「腕の先が銃になった人がビルの屋上から空を飛んでいった」という証言を、親は子供の戯れ言だと取り合わなかったらしい。
ロボットの存在は人々の生活に浸透しているが、腕の先が銃になったロボットなど、子供向けの配信映像番組でしか存在しないからだ。
ところが警察局から各家庭に配信される広報で、襲撃事件の情報提供を呼びかけていることを親が知り、もしかしたらと連絡してきたらしい。
なるほど、ロボットだったから逃げ足が早かったのか。