異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました



 あまり面識のない他部署の捜査員より、部下の方が班長も気楽だろうという建前だったが、現場捜査員の送り迎えなんて面倒くさくて、オレに押しつけたんじゃないかと邪推してしまう。
 たぶん班長的には、ついこの間やってきた新米のオレなんかに守られるなんて気楽ではなく屈辱だろう。しかもオレ、班長が大嫌いなロボットだし。

 そんなわけで犯人確保までの間は、ヒマなときも班長のそばにいることになった。

 えー。すげー気まずい。ヒマなのに、そばで何してたらいいんだろう。

 リズの研究室だったら、ムートンと話をしたり、図書館の本を読んだりしてたけど、班長のそばで無駄口叩いてたら怒られそうだし、本なんか読んでていいんだろうか。

 捜査会議を終えて、みんなでぞろぞろと事務室に向かいながらオレはそんなことを考えていた。

「じゃあシーナ、ラモットさんの言うことをよく聞いてね」
 リズに肩を叩かれてふと気づくと、事務室の前まで来ていた。彼女は笑いながら手を振って、そのまま研究室の方へ歩いていく。
 振り返ると班長が相変わらずの不機嫌顔で入り口の横に立っていた。オレと目が合った班長は、無言のまま目で促して部屋に入っていく。オレは慌てて後に続いた。


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