異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
事務室の中には案外人がいる。朝の早い時間に来たのは初めてで少し驚いた。昼間はたいがい出払って閑散としているのだ。
てか、がたいのいいヤローばかりひしめいてると、そうとうむさ苦しい。
特務捜査二課にいる女性は、リズとロティだけなのだ。
今は紅一点のロティが忙しそうに、笑顔でお茶を配っていく。
班長はオレなんかいないかのように、さっさと右手一番奥にある自分の席についてコンピュータを操作し始めた。その横でフェランドがニヤニヤ笑いながらオレを手招きする。
「シーナ、今日からここがおまえの席だ」
「はい。ありがとうございます」
班長の隣になるその席は、元々フェランドの席なのだ。笑顔で返事をして席に着いたものの居心地はあまりよくない。ロティのくれたお茶を飲むのも気が引ける。
班長は不愉快そうにオレを一瞥して、すぐにコンピュータ画面に視線を戻した。黙々と事務仕事をする班長の隣で、オレは姿勢を正してただ座っている。オレに席を明け渡したフェランドは、斜め前にいるシャスの隣にわざわざ椅子を持ってきて、おもしろそうにこちらの様子を眺めていた。
現場主義の班長はどうやら事務仕事は苦手のようで、時々操作をミスって小さく舌打ちしたりする。そのたびにオレもついついピクリと反応してしまう。それを見て斜め前にいるフェランドが必死に笑いをかみ殺していた。