異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
班長は話を中断し、とりあえず入力を優先する。行き先の決定した車は、サイレンを鳴らしながら動き始めた。
通常より高い位置まで浮き上がったエアカーは、警察局の敷地を出て、スピードを上げながら一般車両の列の上を進んでいく。
一般車両は路面から一メートル以上上昇して走行してはならない規則になっている。それより上のエリアは緊急車両や飛行装置の走行エリアになっているからだ。
以前エアカーに乗ったときより高い位置から望む景色にちょっとわくわくする。けれど班長には悟られないように表情は引き締めて、窓の外をこっそり眺める。
エアカーの姿勢が安定してきたとき、班長がリズに尋ねた。
「リズ、どうしてこいつに情報が回ってないんだ?」
「ロボットが許可なく局の情報に触れることは禁止されているからです」
「オレが許可する。こいつは他のロボットとは違う。捜査員だ。常に最前線にいるこいつが事前情報を知らないとなると任務に支障を来す」
班長の口からオレを捜査員、つまり人間と同じだという言葉が出たことに驚いた。
それはリズも同じだったようで、大きな目を丸くして一瞬息を飲む。しかし動揺を隠せず、しどろもどろに反論した。
「え、でもそれじゃ、シーナが故障して局のデータを悪用したりしたらラモットさんが……」
どういう故障だよ、それ。
オレが呆れながら内心ツッコミを入れていると、班長はニヤリと笑みを浮かべてオレを見据えた。
「そうなったらオレが責任を持って逮捕してやる」
なんか嬉しそうなのは気のせいだろうか。