異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
オレが行き先を確認したと同時に、エアカーは減速を始めた。あたりは閑静な住宅街——のはずだが、なんだか人がひしめきあって騒然としている。
その人がひしめく建物の前にある大きな道路に、エアカーはゆっくりと降りていった。
ひしめいているのはみんな警察関係者だ。それもそのはず、現場は第一居住地区のテルム男爵家私設美術館。捜査会議中に緊急指令の流れた爆破予告現場だった。
班長を車の中に残し、リズと一緒に外へ出る。オレを見つけたシャスが、一般捜査三課の捜査員を伴ってすぐにやってきた。
というのも目撃情報は爆破予告事件の現場捜査員から送られたものだったからだ。
班長は車の窓を開けて二人の話を聞いた。オレは班長の姿が隠れるように、窓に背を向けてあたりを警戒する。うしろに聞き耳を立てながら。
きっかけは美術館の敷地内にある木の根元を捜索していた捜査員の頭上に木の葉が落ちてきたこと。彼が何気なく見上げた樹上にロボットがいた。
それだけでも十分不審なのに、ロボットは右腕の先がどう見ても銃の形状をしている。
これは捜査員銃撃事件のロボットではないかと緊急通信してきたらしい。
捜査員に気づいたロボットはすぐにその木から飛び立ったという。背中に飛行装置を背負っていたらしい。
飛行装置は一般には出回っていない。入手ルートも問題になるだろう。