異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
目撃者の話を聞いているうちに、車の周りにはいつの間にか機動捜査班のリーダーたちが集まっていた。
事情聴取を終えた班長は、目撃者を労った後、各リーダーたちにてきぱきと指示を出す。今回オレは蚊帳の外だ。
指示を受けたリーダーたちは、次々に持ち場へ向かって散っていき、最後に残ったのはオレひとり……のはずが、なぜかリズが所在なげに佇んでいた。
てっきり通信車両に向かったものと思っていたんだが。
「なにやってんの?」
尋ねるオレにリズはムッとしたように答える。
「人が多すぎて通信車両がどこにあるのかわからないのよ。みんな忙しそうだから聞きそびれちゃって」
まぁ確かに、単純計算でもいつもの二倍は人がいるからな。
誰かに連れて行ってもらえばいいんだろうけど、みんなそれぞれ忙しいだろうし。そもそもオレがここに突っ立ってるだけなら、リズがわざわざ通信車両に行く必要もないんじゃないか?
そう思ったので提案してみた。
「班長と一緒に車の中にいれば? オレが捜査に参加しないならリズがモニタリングする必要もないんだろ?」
「そうだけど……。あなたが動く可能性もあるじゃない」
「どうせ後でデータ回収するんだし問題ないだろ」
「……わかった。あなたの言うとおりにする」
班長とふたりきりが気まずいのか、しばらく抵抗していたリズも渋々了承した。
こちらにやってきたリズに、一応お願いする。
「念のため、リミッター解除しといて」
「いいわ。リミッター解除命令。パスコード78374」
マスターの命令受理。
パスコード承認。
筋力リミッター、ロック解除。
痛覚センサ停止。