異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました


 オレはひとつため息をついて、リズに提案した。

「こいつは現場を撤収するまでオレが見ておくから。それでいい?」
「えぇ。お願いね」

 リズは嬉しそうに笑って猫の首輪についたリングをつまむ。そのままリングを引っ張るとリードが延びた。それをオレに渡して、猫の頭をひと撫でし、リズは車に乗り込む。猫は名残惜しそうに首を伸ばしてリズを見つめた。

 こいつもリズが気に入ったのかな。

 車に乗ったリズは窓枠に手をついて、外にいる猫と見つめ合っている。まるで引き裂かれた恋人同士みたいじゃないか。
 リズの隣で不愉快そうにしている班長は、さしずめ結婚に反対している親族あたりか。
 思わずクスリと笑いそうになってハタと気づいた。
 引き裂いたのオレじゃないか!

 オレの役どころは同僚の彼女に横恋慕したあげく、卑劣な罠にかけて二人の仲を引き裂いた、自称「親友」か?

 笑いかけたのもつかの間、自分の妄想に不愉快になる。
 卑劣な自称「親友」らしく「同僚」の粗探しでもしようじゃないか。

 内心は冗談半分で猫ロボットのボディをスキャンする。その直後、システムメッセージが笑えない事実を告げた。


 時限装置付き爆発物検知。
 時限装置は未作動。


 はぁ!? 爆弾内蔵猫!?
 とんでもない粗を見つけてしまった。っていうか、粗ってレベルじゃない。


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