異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
22.シーナ、危うし
絶対命令が起動する。
こんなところで爆発させたら、すぐそばにいる爆発物処理班は無傷ですまない。
背中に覚えのある激しい衝撃を感じる。撃たれた。背負った飛行装置が破壊されて背中を滑り落ちる。
でも猫は無事だ。何もわかっていない無邪気な瞳がオレをじっと見つめている。
絶対命令に支配されたオレは、自分の意思でしゃべることもできないので、目で訴えた。
おとなしくしてろよ。もう一度リズに撫でてもらいたいなら。
伝わったわけではないだろうが、猫は目を細めてオレの胸に額をすり寄せた。ぜんぜんわかってないな、こいつ。
そばまで来ていた爆発物処理班は、班長たちが乗った車の後ろまで退避している。たぶんもうすぐ班長の連絡を受けた機動捜査班があいつを確保しにやってくるはずだ。それまでこいつを守らなきゃ。
——って、うわぁ、また撃たれた。今度は背中を直撃。息つく間もなくもう一発きた。しかも寸分違わず同じところ。さすがロボット、照準も精密。
って感心してる場合じゃない。何度も同じところを攻撃されたらさすがに強化ボディもやばいんじゃないか?
そんなことを考えていると、再び同じところを立て続けに二発撃たれた。
途端に視界が真っ赤に染まる。視界の隅で「警告」の赤い文字が点滅し始めた。システムメッセージが冷ややかに告げる。
強化皮膚の一部、耐久率60%に低下。
そんな情報知らせてくれなくていい。どうせ絶対命令で動けないんだから。