異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
助かった途端のんきなことを考えていると、車の後ろに退避していた爆発物処理班がオレの元に駆け寄ってきた。オレの腕から速やかに猫ロボットを回収する。
そして自走式の台車が運んできた頑丈な金属製の箱のふたを開いた。箱の中は液体に満たされている。爆発物処理用の特殊な溶液のようだ。その中に猫を入れようとしているのを見て、思わず引き留めた。
「ちょっと待ってください」
あ、しゃべれた。絶対命令が停止したみたいだ。視界の警告モードも解除される。
筋力リミッター、ロック。
フルパワーも終了した。でもいったいどれくらい時間が経っているんだろう。絶対命令が起動していると時間の確認すらできないのだ。
改めて時間を確認する。なんと絶対命令起動から九分二十五秒しか経っていない。ずいぶん長い間銃撃に耐えてた気がしたのに。
立ち上がって振り返ると、美術館の屋根には次々に機動捜査班の捜査員が降りていくのが見えた。シャスとフェランドの姿も見える。
やっぱり班長があいつを仕止めてくれたようだ。
「班長、ありがとうございました」
オレが礼を述べると、班長は得意げにニッと笑った。
「借りは返したからな」
そう言ってオレの肩をポンポンと叩く。
「よくやった。背中の傷をリズに診てもらえ」
「はい」
珍しい笑顔とねぎらいの言葉を残して、班長は美術館の方へ歩いていった。