異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
背中、傷になってるんだ。この間は無傷だったけど。
腕を回して背中を探る。制服に拳くらいの大きな穴が空いていた。まだ一日しか着てないのに。
触った感じだと、穴は空いてないようだが皮膚の表面がかなりガサガサに荒れている。こっちも修理が必要らしい。あの作業台に載るなら全裸かな、やっぱ。
オレがため息をついたとき、いきなりリズが抱きついてきた。
「シーナ!」
「うわっ、なに?」
驚いて尋ねると、リズは顔を上げて不安げな瞳でオレを見上げる。
「大丈夫? どこか不具合はない?」
「たぶんないと思うけど、あとで詳しく診てくれる? 背中も傷になってるし」
「うん。……よかった」
リズは小さく頷いたあと、再びオレの胸に顔を伏せてしがみついた。
怖かっただろうな。目の前で人間そっくりなものが何度も撃たれるのを見てるのは。
しかもこの体はリズにしてみれば、我が子も同然で尊敬するバージュ博士に因縁のあるものだし。
感知した生体情報から、リズがまだ恐怖に動揺していることがわかる。
どうしよう。抱きしめたい。
震える小さな体を抱きしめて、オレは無事だから、ちゃんとここにいるから、って安心させてやりたい。
けれどこんな時、ただのロボットはどう反応するべきなのか、オレにはわからない。
わからないけど、せめて少しくらいは安心してもらいたい。そう思ってそっと頭を撫でた。