異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
しばらくそうしているうちにリズの心も次第に落ち着きを取り戻してきた。そろそろ仕事に戻らなきゃ、班長に怒鳴られる。そう思ってそわそわし始めたとき、後ろから申し訳なさそうな声が聞こえてきた。
「あの〜取り込み中のとこ悪いんだけど、用事がないんだったら、そろそろこいつを連れて行ってもいいかな?」
振り返ると、爆発物処理班が猫ロボットを抱えたまま苦笑していた。
やべぇ。オレが引き留めたんだっけ。
猫は暴れるどころか、すっかりリラックスしたように、びろーんと体の力を抜いて、なすがままにぶら下げられている。
こいつ本当になにもわかってないな。
オレは未だにしがみついているリズの肩を叩いた。
「リズ、あいつを撫でてやって。あいつがおとなしくしていてくれたからみんな無事だったんだ」
ようやくオレから離れたリズは、少し微笑みながら猫の頭を撫でる。
「いい子ね。あなたが一番辛い目に遭ってるのに、シーナの言うこと聞いてくれてありがとう」
猫は嬉しそうに目を細めて「にゃあ」と鳴いた。
こいつ、どうなっちゃうんだろう。やっぱり処分されちゃうんだろうな。こんな脳天気でおとなしい奴なのに。
同じことがリズも気になったようで、猫を箱に詰めて立ち去ろうとする爆発物処理班に尋ねた。
「あの、その子どうなるの?」
「あぁ、通常の爆弾なら爆破処理するけど、ロボットはメモリやプログラムのチェックがあるから、爆発物を取り除いて鑑識に回すことになってるんだ」
まぁ、爆弾犯人の手がかりをつかまなきゃならないしな。
話を聞いてリズの表情があからさまに明るくなる。わかりやすい奴。元気になったみたいでよかったけど。