異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
真っ白な部屋で、ベッドに横たわるリズを見つめる。すっかり日は落ちて、窓の外は暗くなっていた。
あれから駆けつけた班長の命令で、オレはリズを抱えて警察車両に乗り込み、緊急走行でラフルール官庁街にある病院に向かった。
医者に調べてもらったが、やはりどこも異常はない。医者の見解は、極度な緊張から解放されて疲れが一気に噴出したのだろうということだ。
一瞬だけ、脈拍や呼吸数が増加して、脳波に異常があったことを告げたら、リズには普通にありえることだと言われた。
病気などで体内に制御チップやナノマシンを埋め込んでいるクランベール人は結構多い。リズも幼少期の記憶障害が元で、脳内に記憶制御チップを埋め込んでいたらしい。
疲れが原因ならいずれ目を覚ますだろう、と班長に言われてオレがそばについていることになった。目覚めた時、知らない場所にひとりでいると驚くだろうし。
それはオレがよく知っている感覚だ。
あのままリズはずっと意識がないけど、相変わらず生体情報には異常がない。目を閉じて静かな寝息を立てている。
医者は大丈夫だと言っていたが、やはり心配だ。ちょっとだけでもいいから、目を開けて欲しい。 その思いが通じたのか、リズが少し頭を動かした。そしてゆっくりと目を開く。まだ頭が働いていないのか、ぼんやりとオレを見つめる。