異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
「よかった。気がついた?」
オレが声をかけると、ようやく意識がはっきりしたみたいで、驚いたようにひじをついて体を起こそうとする。
「シーナ? 私、どうしちゃったの?」
「現場で倒れちゃったんだ。どこも悪くないってお医者さんは言ったけど、まだ寝ていた方がいいよ」
オレはリズの肩に手を置いて、ゆっくりと体をベッドに戻した。再び体を横たえたリズは辺りを見回して尋ねる。
「ここは病院? 現場の仕事で忙しいのに、みんなに迷惑かけちゃったわね」
「気にしなくていいよ。事件は一応片付いてたんだし」
リズは真剣な表情でオレを見つめながら、まだ何かを言おうとした。
「あのねシーナ、私……」
「話は明日ゆっくり聞くから、今日は休んだ方がいいよ。班長もそうしろって」
話しかけた言葉を飲み込んで、リズは微笑みながら小さく頷く。
「えぇ。わかったわ。あなたも休んで」
「君が眠ったらオレも休むよ。あ、オレがいたら休めない? だったら外に出てるけど」
「充電中なんでしょ? いてもいいわよ」
外にも電源はあるから、それは大丈夫なんだが。そう言おうとしたとき、リズがオレの腕を掴んだ。
「お願い。そばにいて」
少し照れくさそうに目を逸らして、それでも腕を掴んだ手に力を込めて、リズがオレを引き止める。
オレは腕を掴んだリズの手をベッドに戻して、天使の微笑みで答えた。
「了解しました。マスター」