異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
オレがひとりで納得しかけたとき、隣でリズが口を開いた。
「ラモットさん、ロティもシーナもバージュモデルです。周囲の反応や経験がデータとなって、今後の人格形成に影響することをお忘れなく。ふたりに嫌われては仕事もやりにくくなるでしょう?」
いやぁ、オレは前世で日本の営業マンだったから、仕事の上では嫌いな奴とでも、そこそこうまくやっていけるけど? てか、煽るようなこと言うなよ。
ロティはどうなんだろう。と視線を向けると、彼女はすでにラモット班長のそばを離れて他のメンバーにお茶を配って回っている。驚くほどマイペースだ。
人じゃないからこそ、オレやリズが気にするほど班長の態度をなんとも思っていないのかもしれない。
内心は苛ついていると思われる班長は、心に反して口元に不敵な笑みを浮かべながらリズを見下ろした。
「嫌われて結構。オレもロボットは嫌いだ」
そうだろうとは思ってたよ。けど、そんな大人げないことを堂々と……。
オレが半ば呆れていると、班長はさらに続けた。
「特に、人の感情を読んで涙まで流す、そんなバージュモデルが一番嫌いだ」
吐き捨てるように言って、ラモット班長は部屋を出ていった。それを見送ってリズは大きくため息をつく。
やっぱ、なんかトラウマでもあるのかな。
そんなことを考えながらぼんやりしていると、後ろから肩をポンと叩かれた。ハッとして振り返る。そこにはロティの配ったカップを持ってニコニコしているシャスがいた。