異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
「さっきはありがとう。班長のロボット嫌いは筋金入りだから、あんまり気にするなよ」
「あ、はい。大丈夫です」
嫌われているだろうことは知っていた。班長が言った通り、オレには人の感情がある程度読める。といっても、別に超能力とかそういう非科学的なものではない。内蔵した各種センサが捉えた生体反応の変化によって人工知能が判断するのだ。
当然ながら何を考えているのかまではわからないので、班長がなぜロボットを嫌っているのかはわからない。
苦笑するオレを見つめながら、シャスもなぜか苦笑する。
あれ? なにかマズいことでも言った?
「オレには敬語じゃなくていいよ。経験値は君とたいして違わない新人だしさ」
「はぁ、でもシャスさんは先輩だし……」
備品が人間様にタメ口きいてたら、益々班長が不機嫌になるんじゃ……。
実はリズに対してタメ口なのも、班長は不愉快そうだった。「親のようなもんだから」で一応納得はしたみたいだけど。
オレがためらっていると、向こうから大男のフェランドがにやにや笑いながらやってきた。まぁ、機動捜査班はみんな、がたいのいい大男ばかりなんだけど。華奢で小さいのはオレくらいで、新人のシャスもオレよりはだいぶがっしりしている。
フェランドはシャスの首に腕を回して、頭をくしゃくしゃと撫でた。
「よかったな、シャス。シーナが先輩だと認めてくれたぞ」
「へ?」
呆気にとられて間抜けな声を漏らすオレに、フェランドは楽しそうに言う。
「こいつ、シーナが配属になったとき、後輩ができたって喜んでたんだ。お友達になってやってくれ」
「はぁ……」
「フェランドさん、からかわないでください」
シャスは真っ赤になってフェランドの手を振りほどいた。そして気まずそうに苦笑をたたえてオレに言う。
「あ、まぁ、そういうことだから、班長がいないときくらいは、ね? そういう切り替えって得意だろ?」
オレはクスリと笑って頷いた。
「うん。わかった」
会話判定に班長有無フラグを設定しておけばいいか。