異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
市街地の随所には警察局が設置した防犯カメラがある。さすがに民間の建物内にあるコンピュータには警察局といえども無許可でアクセスするわけにはいかない。警察局長官の許可と民間の承諾が必要になる。
そっちは少し時間がかかるだろう。
オレが二課長との通信を切ろうとしたとき、頭の中に直接通信が入った。
相手は……リズ!?
「二課長! リズから通信です。そのまま聞いていてください」
「わかった」
二課長との通信回線はそのままに、オレはリズの通信に応答する。
「リズ! どこ行ってんだよ」
「ごめんなさい。ちょっと用事があって出かけてるの」
声の調子はいたって冷静で、無断で外出しているのにまったく悪びれた様子もない。
人工知能がぬかりなく本人確認をする。
声紋は一致。人工的に加工された形跡もない。
てことは本人に間違いないのだろう。
だが、あまりに落ち着き払った様子が、かえって不自然に感じる。音声通信では生体情報が得られないので、オレにも感情が読めない。
リズが事件に巻き込まれている可能性は捨てきれないので、ちょっとした騒ぎになっていることは伏せておく。
とにかく会話を長引かせよう。おそらく二課長が逆探知してるはずだ。
オレは少し迷惑そうに尋ねる。
「今日は直帰ってこと?」
「そうね。もう少しかかるから、そっちには帰れないわ」
「ムートンとトロロンは君の命令がないと休めないんじゃなかったっけ?」
「そうだったわね。あなたの内蔵スピーカーと通信回線を繋いでくれる?」
「了解」